高橋です
今回は、9/4(土)に行われました大学での公開講座『映画「ハナミズキ」ができるまで』の模様をお届けします。
すでに一青窈のハナミズキの歌はご存知の方も多いと思いますが、常にカラオケでも上位にランキングされています。そのハナミズキの歌をモチーフに今回の映画が制作されました。キャストには新垣結衣、生田斗真、向井理など今が旬の俳優を揃えています。
8月21日の全国公開以降、常に1位を独占していたスタジオジブリの映画「借りぐらしのアリエッティ」を抑えて初回、2 週目以降も1位を走り続けています。
映画業界では興行収入が10億円を超えるとヒットと言われていますが、公開2週目にしてすでに今年度の映画ランキングで上位に入るのが確定しているほどのる大ヒットとなっています。
今回は、デジタルハリウッド大学を全国の高校生や受験対象者に知ってもらう夏のオープンキャンパスの特別イベントとして実施されました。
基本的に毎月行われている公開講座の企画、交渉、実施の一連の工程を私が担当しています。それは、既に私が映画を含めたメディア業界と常に交流を持ち、人的ネットワークを構築しているからです。そうすることでコンテンツ産業の最新動向やヒット作品に秘められた戦略を分析し、大学の授業で学生に教授しています。その中でこのハナミズキは小説や漫画などの原作でなく歌という特殊性、さらにキャストには新垣結衣、生田斗真さんなど高校生がこの映画のターゲットとなるという関連性、そういった背景からこの作品の公開講座が実現させました。
当日の会場には、ハナミズキを見た映画ファンから本学の大学生、受験検討者の高校生、そして多数の取材メディアが来校し、会場は盛況の中公開講座は行われました。
公開講座のゲスト講師として今回の制作秘話をお話していただいたのはTBSの土井監督、那須田プロデューサーにご登場いただきました。
このお二人、土井監督は大ヒットを記録した竹内結子主演の映画「いま、会いにゆきます」の演出、那須田プロデューサーは映画「恋空」を担当されたヒットメーカーです。
まだ、映画「ハナミズキ」は公開中ですので、ネタばれにならない範囲で制作秘話をご紹介します。
企画のスタートは、ゲスト講師のお二人が制作された映画「涙そうそう」の2006年ごろにさかのぼります。歌を映画にすることに手ごたえを感じて、他の歌でも映画が作れないか模索する中で、ハナミズキをその候補として選定したそうです。
脚本は、約3年もの年月をかけ、脚本家を交えて、何度も見直しては書き換えを繰り返し、作り上げていきます。その制作工程を繰り返している中、映画「恋 空」で一緒に仕事をした新垣結衣さんと出会い、彼女を想定しながらすすめていた映画制作の準備が着々と進んでいきます。そしてメガホン を取るのは数多く一緒に仕事をしてきたTBSでも同期の土井監督です。そして、脚本が固まってきた2009年に撮影が開始され、日本、ニューヨーク、カナダと撮影が行われました。そして、4年がかりの2010年この夏に公開されたのです。
内容については、一見一般的な純愛ラブストーリーに見えますが、この映画の魅力はライフストーリーだと語る土井監督。なぜライフストリーなのか?
映画のキャッチコピーは「君と好きな人が、100年続きますように」。
この言葉をいかにして映画として表現するかにかかっていたからなのだお二人の製作者は語りました。その答えとして土井監督は「100年続くというのは、ひとつの愛というよりは、世代を超えていくことなんだろうなと思ったんです。一青さんは911に心を痛めて、この曲を作ったそうなんです。ですから、平和をベースに、その思いを次の世代につなげるというように描かないといけないなと思ったんです」と明かしました。本作では、そういったところから、新垣結衣演じる紗枝が、戦場カメラマンの父親の思いを受け継いで海外で働くことを夢見る、という物語にライフストーリーでを感じさせる理由があったのです。
これは、まさに一時の恋や愛ではありません。主人公の人生を描いた作品です。
最後に、私からこの公開講座で特に理解すべき映画業界の傾向について質問を行いました。それは現状、放送局が中心となって映画が製作されている点です。その傾向から浮かび上がる映画製作における監督とプロデューサーの視点、映画とテレビの製作についてどのように考えているのか?映画とテレビはどのように違うのか?その答えを土井監督は次のように応えてくれました。
「テレビドラマは説明物だが、映画はイメージ物。映画を見る観客それぞれが独自の世界観をイメージして描いてみてほしい。そこにその人に届くメッセージがある」という言葉が伝えられました。
私の感想としては、そもそもこれまで映画は、監督の自己満足作品と揶揄される傾向にありました。監督が作りたい物を作る。それに対してアメリカの映画はエンターテインメント。つまり、観客が見たい作品を作る。このエンターテインメントとなる作品を制作できるのは、常にテレビの視聴率と戦っているテレビ番組の製作者達。その意味では、ハナミズキはまさに観客が見たいものを作るというテレビ製作者の視点、考えがハッキリと示された映画でした。
それをふまえて、この映画は見終わった後に観客それぞれが昔の淡い思い出や日常とリンクする部分が非常に多く、皆さんにとっても非常に共感できる世界観があふれた作品だと思います。
これからも将来映画監督やプロデューサーを目指す学生のとなるような公開講座を行っていく予定です。
次回は、どんな公開講座でしょう。
ぜひ、お楽しみに!
【URL】
映画「ハナミズキ」
http://www.hanamizuki-movie.com/
8月21日(土)全国東宝系ロードショー