みなさん、こんにちは。講師の小倉イサクです。今回は、VFX-Japan共催セミナー『北米VFX動向』と『海外就職セミナー』を開催しましたのでその報告を。長文ですが、興味のある方に取っては、「かなり重要な情報」ですので、是非ご覧下さいませ(写真は左:溝口さん、右:鍋さん)。
映画における北米三大都市を御存知ですか?L.A,N.Y,Toronto,Vancouverです。その中でも、最も盛んな都市であるL.Aの動向を紹介しましょう。
・不況とはいえ、318億ドルの興行収入
・中堅スタジオの閉鎖も一段落
・夏はスロー、秋から活発化
・ILMがLAに新スタジオ(Cowboy&Alian制作の為)
・Jキャメロンが、新スタジオ制作(アバター続編制作の為)
・S3D(立体視)の技術は一段落。次は48-60fps
という感じです。アメリカ経済は苦境だとか、ギリシャの経済危機だとか、日本でもTPP問題等と経済の話題はことかきませんが、とりあえず北米の映画業界での不況は一段落といったところでしょうか?今年も様々なVFX映画があって、来年以降の公開に向けて様々な制作が走っている様子です。いち映画ファンとしては、アバターの続編に興味がわく所ですが、現地の方に取っては新スタジオ設立が、大きなニュースらしいです。
続きまして、日本の話です。北米にはアカデミーの視覚効果賞というものがありますし、VES(Visual Effect Society)という団体もあります。VFXに携わる方が会員となり各種セミナーの開催やフリーの方に保険などの福利厚生を用意したり、優れた作品に対して賞を授与したりと様々な活動をされている団体です。しかし、日本にはその様な団体はありませんし、日本アカデミー賞にも視覚効果部門すらありません。。。そこで、VFX-Japanという団体を設立して、様々な事をしていきましょうという事です。詳細はサイトを是非、ご覧頂ければと思いますが、「好きだからCG作って飯喰います」ではなく、立派な職業として認知してもらい、活躍の場を広げて「安心して働く」道筋を作ろうとしているので、今後の動向をチェックして下さい。
次は、鍋潤太郎さんと溝口稔和さんによる海外就職セミナーです。
ハリウッドの制作会社が行うスタッフの募集時期は、作品の制作期間に応じてなので、日本のように4月からの定期採用ではありません。又、作品は郵送ではなくオンライン応募が多いそうです(各社によって異なります)。尚、作品のデモリールは『2~3分以内で収めて、専門分野に特化し、完成度の高い作品から入れて、リールの最後に連絡先を必ず入れる、ブレイクダウン(使用したソフト、技術的な解説、どこを担当したのか、学生の場合は製作期間も)は必須』という事です。履歴書(レジメ/Resume)は『1~2ページにまとめる、写真・年齢・性別・国籍は不要、経験や学歴は上から新しい順番で記入、何のポジションを希望していて、何のソフトウェアの専門家なのか明記、シンプルなフォント、メールアドレスなどの連絡先』を書いてください。因に、時給はエントリー(初心者)15ドル、インターミディエイト(中級)35ドル、シニア(上級)50ドルが一例です。その他に、就労ビザの事など、もっと知りたい方はこちらのDVDや書籍をご購入下さい。
最後にゲストスピーカーにSony Pictures ImageworksでNukeを使ったコンポジッターをされている細見さんが、お話をしてくださいました。
細見さんは、日本の大学(英文科)を卒業後に4年間、普通の会社で働きお金を貯めた後、アメリカの大学へ留学したそうです。2年の勉学で準学士の資格を得た後に、いざ就職!と思い活動したそうですがネットで会社を探して50社以上にレジメやデモリールを送ってもエントリーレベルでは、全くダメだったそうです。そこで、今度はSiggraph,VES,AnimationFestivalのボランティアを行い、会った方々に名刺交換をしまくって、メールを送りまくり、ようやくSPIに入ったそうです。現在は希望のお仕事をされていますが、常にビザの事を考える必要があるのは辛いとのこと。。。しかし、それを上回る点として担当ショットが世界中の映画館で公開されるのは至極の幸せだそうです。何れにしろ、日本人にとって、英語の事、ビザの事、技術の事、、、様々なハンディがありますが「諦めないこと」が重要だそうです。これを読んでいる皆さん!メチャクチャ大変ですが、希望と夢を持ってガンバッテ下さい!!
いさく
PS.
2011年度のアカデミー賞・長編アニメーション部門にエントリーした作品が、いくつか分かったので紹介します。
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』,『アロイス・ネベル(原題) / Alois Nebel』,『アーサー・クリスマスの大冒険』,『カーズ2』,『ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊』,『カンフー・パンダ2』,『長ぐつをはいたネコ』,『ランゴ』,『スマーフ』,『くまのプーさん』
日本ではまだ公開されていない作品も多々ありますが、前評判が高いのはスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』のようです。要チェックですね。