2010/09/24

中田英寿×デジハリ=『NAKATA MAP』OJT

皆さんこんにちは。講師の小倉イサクです。今日のブログは、デジハリの特徴の一つであるOJT(On The JobTraining)に関してです。大学、大学院、専門スクールでは企業様からの案件を受け、教員が指導に立ち、仕事を受けています。「本当の案件(仕事)を通じて、学生が経験を養う」というトレーニングです。

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今回、紹介するOJTは元サッカー日本代表の中田英寿さんの南アフリカでの体験とワールドカップ観戦記をまとめて電子書籍にして、iPadで販売するという仕事です。発売開始は、9月末ですが僕のところにこの企画の相談があったのは、5月末のWC開幕前でした。以前、『国境なき医師団』プロジェクト(http://beyondtheborder.info/index.html#BTB)に関しての仕事でお世話になったカメラマンのたかはしじゅんいちさん(www.junichitakahashi.com)というフォトグラファーさんからの依頼でした。 いきなり、テレビ朝日前に呼び出され何の相談かと思いきや


『今から、中田英寿さんの事務所の人と合わせたい』(たかはし氏)⇒実はその日、中田英寿さんがテレビ朝日の番組を収録された日だった!

『え?あ!う!!』(小倉)


『実は、中田英寿さんの写真をWCでも撮るんだけどiPadで書籍化するかもしれないので、協力願えないか?』(たかはし氏)


『は?!い?!』(小倉)


というものでした(笑笑)。僕自身、中田さんがイタリアのSerieAで御活躍されていた頃からのファンでしたし、代表も応援していたので、本当にビックリしながら快諾したのを覚えています。



実際に何をしたのかというと、専門スクールのグラフィックコースの学生達(総勢20名弱)がメインになって、インデザインというレイアウト用ソフトやイラストレーターというソフトを使ってPDFのデータを制作するというものでした。中田英寿さんの写真や南アの画像だけではなく、文章、動画、WEBサイトへのリンクといった電子書籍ならではの機能をもたせる事を念頭に置いての作業なので文字サイズや解像度、素材の縦横比などに気を使いながらの作業でした。学生諸君も、通常の印刷媒体を制作する為のDTP作業とは異なるので興味を持って参加してもらえたと思います。本来ならば、iPadへのプログラミングもチャレンジしたかったのですが、そこは断念しデザインだけに専念し完成させました。


今月末に発売予定で、中田英寿さんの南アフリカ特集以外にもワールドカップ全体の総集編の記事がたっぷり入っていますので、iPadをお持ちの方は是非とも、ご購入下さい。ちなみに、スタッフリストには、本件に関わった学生の名前も掲載されています。OJTなので、お給料は発生しませんが自分の名前が結果として、雑誌に載るのは学生にとっても満足感の得られるものだと思います!!

2010/09/22

アニメコースの講師会開催

大学教員の高橋です。

今回は昨日9/21(火)に行われましたアニメコース教員との講師会の模様をお伝えしたいと思います。

デジタルハリウッド大学では、2008年よりアニメコースを設置し、商業アニメーションの分野で将来活躍が出来るよう、現役で活動されている様々な専門家の方々を教員として招聘し、指導しています。

デジタルハリウッドのイメージから言えば3DCGが色濃く強いのですが、このコースでは日本が世界に誇るジャパニメーション(テレビアニメで主流であるリミテッドアニメの2Dアニメーション)がメインです。

経済産業省の統計によれば、世界のアニメの65パーセントを日本製ア二メーションが占めているという報告もあり、日本は世界でナンバーワンのアニメ大国です。その結果、映画監督を夢見て世界でナンバーワンの映画集積地ハリウッドを目指すように、アニメでは日本を目指してたくさんの学生が留学生が本学に入学してきます。特に中国からこられる留学生が多いです。

私は長年アニメ産業の研究と実務を行ってきました。その経緯から本学のアニメコースの統括を私が担当しており、教員は古くから現場の最前線で活躍されている旧知のメンバーです。その意味では一体感をもった体制が既に構築されています。

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今回は、初の講師会ということもあり、教員それぞれが自己紹介から始まり、授業の現状、問題点と効果的だった教授法、その対応策など夜8時からと遅い時間からの開始となりましたが、皆さんそれぞれ意見を積極的に出していただき、気づけば時刻は既に10時過ぎということで第一回目はここで終了、次回へ継続する形となりました。

アニメの学校が次々と乱立されている今日、本当に現場で活躍できる人材は経済不況あり、非常に限られています。その現場で活躍できる人材を育成しようと教員は必死です。

今年からアニメのゼミも始まり、来年度になって初めて卒業制作でアニメ作品が完成されてきます。

日本で唯一完全デジタルで制作するアニメの授業を行っている本学がどのような作品を世の中に出していけるのか?

私は期待でいっぱいですが、教員一丸となってより良い学生を輩出していくという方針に一切ぶれはありません。

むしろ、教員のパワーに圧倒されています。

デジタルを駆使した本学のアニメコースにぜひ皆さんも注目いただければと思います。

また、本学では付設機関として国際アニメ研究所も設置しており、この研究所で私を含め教員の皆さんがアニメ授業の教科書を着々執筆しておりますのでそちらもぜひ注目ください。全国の書店で発売される予定です。

お楽しみに!

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※画像はアニメコースの教員の皆さんです。

全員熱い先生の方ばかりです。

2010/09/17

クリエイターズ・オーディション、まもなく開催!

みなさん、こんにちは。講師の栗谷幸助(くりやこうすけ)です。当ブログ担当最後の登場となりましたが、気軽に読んでいただきやすい読み物としてのブログを心がけ 記事を書いて行きたいと思っておりますので、末永いお付き合いを宜しくお願いします。

さて、今回は授業風景についてお届けをしたいと思います。ワタシは大学や専門スクールで Webデザインに関連する授業を担当させていただいているのですが、だからと言って アプリケーションの操作やWeb言語の指導、Webにまつわる概論的な授業のみを行なっているのかというと、そうではありません。

クリエイティブな活動を行なっていけば、より効果的に作品を発表していく場面がある=プレゼンテーションについての指導を担当させていただく機会があるのです。

専門スクールでは 年に数回、企業のみなさまに各コースの優秀作品を発表させていただく場である「クリエイターズ・オーディション」が開催されます。その開催が近づいて来ると、発表者に対してのプレゼンテーション指導を担当させていただいているのです。

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出場者は優秀作品発表会に選ばれているくらいの皆さんですから、非常にクリエイティビティの高い、デザインを通しての高いコミュニケーション能力をお持ちでいらっしゃる学生ばかりなのですが、こと実際に人前に出て、リアルなコミュニケーションを行なうとなると、なかなか自分を表現出来ない方もいらっしゃいます。

3分という時間の中で(プレゼンテーションの時間は一作品3分と決められています)、しっかりと作品の良い点をアピールし、それを自身の強みとして企業のみなさまにアピールできるように、いくつかのポイントをもって指導をしています。

3分間のプレゼンテーションを行なうために、何日も何時間もかけて練習をします。時には厳しい注文をしたりと、参加者にとっては ある意味 辛い時間を経験することになるのかと思いますが、クリエイターとして活動をする上で、作品発表という場は避けては通れない道だと思います。

選ばれなかった人には決して体験できない貴重な経験を持つことが出来ることを喜びと感じて、思いっきりプレゼンテーションに臨んでいただければと思っています。

クリエイターズ・オーディションの開催日は、9月21日(火)・22日(水)の両日、東京本校1Fセミナールームで開催されます。ぜひ発表者の作品や将来への熱い思いを肌で感じるべく、会場にお越しいただけたら幸いです!

2010/09/14

八王子での研究活動

こんにちは。大学教員の高橋です。

 現在大学は夏季休暇中ですが、教員の研究活動は休暇はありません。本学には秋葉原のメインキャンパス加え、セカンドキャンパス、サードキャンパスほか八王子制作スタジオがあります。

 皆さんの中でもデジタルハリウッド大学のイメージは「秋葉原」という方が多いと思いますが、八王子制作スタジオでは、学生の映像撮影やゼミの作品制作活動、さらには多数の映画やテレビ番組の撮影が行われており自然も豊かでとても活気ある場所です。八王子にもそのようなスタジオがあることから、デジタルハリウッド大学は「大学コンソーシアム八王子」に加盟しています。
大学コンソーシアム八王子は大学、短期大学、専門学校などの高等教育機関と行政、市民団体などが研究や交流、情報発信などの面で手を結ぶことを目的に結成する共同事業組織です。
核となる八王子市に加えて、工学院大学、明星大学、帝京大学、東京造形大学、多摩美術大学など計23の大学が参加しています。この特性を活かし、大学・市民・経済団体・企業・行政などが連携・協働し、産学公による共同研究、生涯学習の推進、情報の発信、学生と市民との交流、外国人留学生の支援等に取り組むことにより、高等教育の充実、地域社会の発展並びに地域の国際化の推進などを図り、大学・学生、市民・企業それぞれが、地域に大学があるメリットを感じることができる魅力ある学園都市の形成を目指します活動をしています。大学コンソーシアム八王子には産学公連携部会があり、私はデジタルハリウッド大学の代表して参加しています。

 ペースとしては毎月部会が開催されており、大変活発です。23もの教育機関が参加するこのコンソーシアムは研究活動やイベント等、毎年企業との研究発表やコンテストが盛んに行われており、昨年は私も座長を努めさせていただきました。
 今年は本学の学生とともにクリエイティブのコンテストに参加を予定しています。コンペディションですから、学生同士刺激があってよいと思います。
学長室としても、このような活動を積極的に推進をしていく方向です。

 教育機関の連合体の中での交流は、研究を推進させるだけでなくより深い繋がりと地域に貢献するという公共的な大学の役割の一つを果たす必要があります。関連する八王子学園都市大学(愛称:いちょう塾)では、本学の杉山学長の講演も行われており、改めて地域と共生する大学の姿が垣間見れます。そういった深い八王子市との関係性もあり、私は八王子制作スタジオの研究室で研究活動を行っています。

CIMG2770 現在は、来年度出版予定の原稿執筆に追われながら、旬な研究テーマであるiPadで話題の電子書籍の研究に取り掛かっている最中です。

この研究にも様々な企業と一緒になって週一回ぺースで研究会を行い、日々多数の課題とその解決策に追われながら研究しています。

この研究は、現時点で具体的には公表できませんが、まだ他では行われていないほど先進性のあるものです。


ぜひ、期待してください。

また、当然ながら大学生活では研究も学生にとって重要な学習です。
このような活動を教員と学生が一緒になって行っていく姿こそ、大学であり、その姿を学長室の教員は使命感を感じながら日々努めています。


自然豊かなこの八王子での研究活動は、秋葉原と違った魅力があります。
ぜひ、機会あれば一度スタジオと研究活動の見学にいらしてください。皆さんの参加をお待ちしています。

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2010/09/10

映画『プランゼット』メイキングセミナー

皆さんこんにちは。講師の小倉イサクです(http://twitter.com/Isaaku)。本日より、私もブログを開始致します。面白くて、タメになる内容を心がけますので是非是非、御一読下さい。よろしくお願いします!

IMG_0278 記念すべき最初のブログは、9月9日に行われた映画「プランゼット」~粟津監督によるCGメイキングセミナー~に関しての概要と解説、思う所を述べたいと思います。

http://www.planzet.jp/

映画の概要は、上記URLにあるので読んで頂きたいのですが、ザックリ言うと『フル3DCGを使ったSFムービー』です。粟津監督は、前作の特撮怪獣映画『惑星大怪獣ネガドン』にて、個人制作で約25分の映像を制作し世界中のコンテストにて輝かしい成績を納めました。今回は、倍以上の尺で、登場人物も倍増した事を踏まえ外部のCG会社との協力体制による制作を行ったので非常に内容の濃いものになりました。この点について、監督は「人を束ねる事の大変さと難しさ」を感じたそうです。一方で、SFにあまり興味が無い人との仕事で「自分には無い発想」で制作されたモノを見る楽しさにも感銘を受けたそうなので、良い点、悪い点、様々だったのでしょう。また、監督自身がSF映画が大好きだということで今後の作品も『CGアニメーションによるSFムービー』という分野を確立されていくのだと感じました。


映画の内容以外の目玉企画として、CGディレクターの宮原さんによるMAX(3DCGソフト)と粟津監督によるAfter Effect(合成用ソフト)での実演形式によるメイキングを行いました。来場した学生の皆さんにとって、普段の授業で使用しているソフトが、実際にどのように使われているのかは非常に興味がある所だと思うので、多めに時間を割いて説明をして頂きました。

ポイントを以下にまとめましたので、参考にして下さい。

①MAXによるキャラクタ制作事例
・低コストによる制作のため、バストショット用やフルショット用のモデル違い(ポリゴン数の違い)をせず に制作した(★注1)。ただし、レンダリング時に於けるスムースレベルは変更した。
・顔は口と両目を同心円としたメッシュの配置を心がけ、様々な表情に耐えうる形状にした。
・母音用(あいうえお)のフェイシャルターゲット(★注2)ではなく、「う」「え」だけ制作し、「あい  お」は「う」「え」にアゴの変形(ボーンによる)を加える事で対応した。
・効率よく動かせて、且つ形状の破綻が無い事を考えながらモデリングした。つまり、モデリングの作業だが アニメーションの作業も考慮して制作しているという事を常に心がけた。

②After Effectによる合成事例
・カラコレ(★注3)も行うが、3DCGのレンダリングで100%に近いクオリティーまで持っていく事を目標 にV-Ray(★注4)でレンダリングを行った。
・空気感の演出の為、手前と奥に対して「明るさ」「彩度」「ボカシ」「影」「霧」等の修正を行った。
・レイヤー数を可能な限り少なくし(10レイヤー前後)、効率よく作業出来る様に心がけた。
・草花は2D上でアニメーションさせる事で、3DCGアニメーションの負担を軽減した。

★注1:引きのショットと寄りのショットでモデルデータを分ける事によりレンダリング時間を軽減する方法です。
★注2:顔の変化を表現する為には「変化後の形状(フェイシャルターゲット)をモデリング」する必要があります。
★注3:色調補正、明度やガンマカーブによる調整、色相、彩度やコントラスト調整、など最終的な絵作りの為の調整の事を言います。
★注4:レンダリングするためだけのソフトでレンダラーと言います。他にも、PIXAR社(トイストーリーでお馴染み)のRenderMan等もあります。
(全ての内容を観たい方は、以下にUstreamのデータがありますのでご覧下さい)
http://www.ustream.tv/recorded/9448460

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というわけで、ハリウッドの大作映画のような新技術紹介ではなく、明日から使えるテクニックを中心に実演形式のセミナーを行って頂きました。通常、60億円以上の制作費をかけて映画を作るのがハリウッドの映画です。そのうちの数億円はCGに対しての対価です。又、「ハリーポッター」「アバター」「アイアンマン」、、、はもっと多くの制作費があり、CGの技術に対しても正当な開発費を投入しているもとの予想できます。一方、日本では映画「20世紀少年」が3作で60億円の制作費だった事を考えると、非力な映像になってしまうと感じざるを得ません。しかも、プランゼットのような映画はもっともっと、安価な制作費ですので正直、太刀打ちできないのは致し方ありません。だからといって、つまらない映画しか作れないかと言えばそうではなく、創意、工夫と発想、熱意で、なんとかしてしまうのが日本人クリエイターのスゴさであり、賞賛に値します。


しかし、いつまでも「気合いと根性」で勝負するのは太平洋戦争と同じです。車産業を中心とした外需では、もうどうしようもない事は火を見るより明らかな御時世なので『海外でも通じるコンテンツ産業』を武器とした外需に切り替えるべく、政府が中心となり施策を行って頂きたいものです。その為の人材を育成する為のデジタルハリウッドの動向もお見逃しなく!と言った感じで初回のブログを締めたいと思います。長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。

2010/09/09

映画「ハナミズキ」公開講座

高橋です
今回は、9/4(土)に行われました大学での公開講座『映画「ハナミズキ」ができるまで』の模様をお届けします。

すでに一青窈のハナミズキの歌はご存知の方も多いと思いますが、常にカラオケでも上位にランキングされています。そのハナミズキの歌をモチーフに今回の映画が制作されました。キャストには新垣結衣、生田斗真、向井理など今が旬の俳優を揃えています。

8月21日の全国公開以降、常に1位を独占していたスタジオジブリの映画「借りぐらしのアリエッティ」を抑えて初回、2 週目以降も1位を走り続けています。
映画業界では興行収入が10億円を超えるとヒットと言われていますが、公開2週目にしてすでに今年度の映画ランキングで上位に入るのが確定しているほどのる大ヒットとなっています。

今回は、デジタルハリウッド大学を全国の高校生や受験対象者に知ってもらう夏のオープンキャンパスの特別イベントとして実施されました。

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基本的に毎月行われている公開講座の企画、交渉、実施の一連の工程を私が担当しています。それは、既に私が映画を含めたメディア業界と常に交流を持ち、人的ネットワークを構築しているからです。そうすることでコンテンツ産業の最新動向やヒット作品に秘められた戦略を分析し、大学の授業で学生に教授しています。その中でこのハナミズキは小説や漫画などの原作でなく歌という特殊性、さらにキャストには新垣結衣、生田斗真さんなど高校生がこの映画のターゲットとなるという関連性、そういった背景からこの作品の公開講座が実現させました。

当日の会場には、ハナミズキを見た映画ファンから本学の大学生、受験検討者の高校生、そして多数の取材メディアが来校し、会場は盛況の中公開講座は行われました。
公開講座のゲスト講師として今回の制作秘話をお話していただいたのはTBSの土井監督、那須田プロデューサーにご登場いただきました。
このお二人、土井監督は大ヒットを記録した竹内結子主演の映画「いま、会いにゆきます」の演出、那須田プロデューサーは映画「恋空」を担当されたヒットメーカーです。
まだ、映画「ハナミズキ」は公開中ですので、ネタばれにならない範囲で制作秘話をご紹介します。

企画のスタートは、ゲスト講師のお二人が制作された映画「涙そうそう」の2006年ごろにさかのぼります。歌を映画にすることに手ごたえを感じて、他の歌でも映画が作れないか模索する中で、ハナミズキをその候補として選定したそうです。

脚本は、約3年もの年月をかけ、脚本家を交えて、何度も見直しては書き換えを繰り返し、作り上げていきます。その制作工程を繰り返している中、映画「恋 空」で一緒に仕事をした新垣結衣さんと出会い、彼女を想定しながらすすめていた映画制作の準備が着々と進んでいきます。そしてメガホン を取るのは数多く一緒に仕事をしてきたTBSでも同期の土井監督です。そして、脚本が固まってきた2009年に撮影が開始され、日本、ニューヨーク、カナダと撮影が行われました。そして、4年がかりの2010年この夏に公開されたのです。

内容については、一見一般的な純愛ラブストーリーに見えますが、この映画の魅力はライフストーリーだと語る土井監督。なぜライフストリーなのか?


  

映画のキャッチコピーは「君と好きな人が、100年続きますように」。
この言葉をいかにして映画として表現するかにかかっていたからなのだお二人の製作者は語りました。その答えとして土井監督は「100年続くというのは、ひとつの愛というよりは、世代を超えていくことなんだろうなと思ったんです。一青さんは911に心を痛めて、この曲を作ったそうなんです。ですから、平和をベースに、その思いを次の世代につなげるというように描かないといけないなと思ったんです」と明かしました。本作では、そういったところから、新垣結衣演じる紗枝が、戦場カメラマンの父親の思いを受け継いで海外で働くことを夢見る、という物語にライフストーリーでを感じさせる理由があったのです。
これは、まさに一時の恋や愛ではありません。主人公の人生を描いた作品です。

最後に、私からこの公開講座で特に理解すべき映画業界の傾向について質問を行いました。それは現状、放送局が中心となって映画が製作されている点です。その傾向から浮かび上がる映画製作における監督とプロデューサーの視点、映画とテレビの製作についてどのように考えているのか?映画とテレビはどのように違うのか?その答えを土井監督は次のように応えてくれました。
「テレビドラマは説明物だが、映画はイメージ物。映画を見る観客それぞれが独自の世界観をイメージして描いてみてほしい。そこにその人に届くメッセージがある」という言葉が伝えられました。
私の感想としては、そもそもこれまで映画は、監督の自己満足作品と揶揄される傾向にありました。監督が作りたい物を作る。それに対してアメリカの映画はエンターテインメント。つまり、観客が見たい作品を作る。このエンターテインメントとなる作品を制作できるのは、常にテレビの視聴率と戦っているテレビ番組の製作者達。その意味では、ハナミズキはまさに観客が見たいものを作るというテレビ製作者の視点、考えがハッキリと示された映画でした。P1070858

それをふまえて、この映画は見終わった後に観客それぞれが昔の淡い思い出や日常とリンクする部分が非常に多く、皆さんにとっても非常に共感できる世界観があふれた作品だと思います。

 

これからも将来映画監督やプロデューサーを目指す学生のとなるような公開講座を行っていく予定です。
次回は、どんな公開講座でしょう。

ぜひ、お楽しみに!

【URL】
映画「ハナミズキ」
http://www.hanamizuki-movie.com/
8月21日(土)全国東宝系ロードショー



2010/09/01

中国アモイ大学で特別講義

大学教員の高橋です。これから、デジタルハリウッドの学長室に在籍する教員による日々の授業内容、最新技術や映像・コンテンツ解説、学生の取組などをこのブログを通して皆さんに伝えていきます。
初回は高橋が担当いたします。

毎年、中国のアモイ大学では、6月から7月に海外の学者や芸術家を招き学術交流を行っています。
今年は、日本のコンテンツ産業(特にアニメ)の動向について特別講義を希望しており、デジタルハリウッド大学に声をかけていただきました。

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アモイ大学は広大な敷地をもち、学生数は6万人と非常に大きな大学です。移動には、船を使って別のキャンパスに移動することもあるという日本では考えられない規模です。

今回の特別講義は美術学部の学生を中心に「日本型コンテンツ産業の動向」を7月5日~8日までの4日間で約16時間行いました。
アモイ大学の学生は普段アニメを見る事はあっても、学ぶことは初めてですので、アニメを中心にゲーム・映画も織り交ぜて、わかりやすい言葉を用いて解説するよう心がけました。

学生にとっては初めて大学でアニメを学ぶという経験で驚きもあったようですが、非常に熱心に耳を傾ける学生が多く、中国での日本アニメの興味が非常に高いことを身をもって実感!
アモイ大学からは今回の特別講義の内容を評価して頂き、客員研究員の称号を頂きました。

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これを機に、今後とも日本に興味のある学生にもっともっと日本のコンテンツ産業を知って学んでもらいたいと思い、アモイ大学でのアツい特別授業を終了といたしました。
(アモイは連日30度を超える夏日が続いておりました!)